不況のたびに問われた経営の本質。西原良三が下してきた決断の軸

会社を長く経営していれば、好況の時期だけでなく、必ず不況という壁にぶつかる瞬間が訪れる。株式会社青山メインランドを率いる西原良三は、1988年の創業以来、バブル崩壊やリーマンショックといった、業界全体を揺るがす経済の荒波を何度も経験してきた経営者だ。この記事では、そうした逆境の中で西原良三がどのような軸を持って経営判断を下してきたのかを見つめていく。

好況の記憶よりも不況の記憶が経営者を鍛える

創業から現在に至るまでの歩みを振り返ると、順風満帆な時期ばかりが続いてきたわけではない。むしろ、景気が右肩下がりに傾く時期のほうが長く続いたと言っても過言ではない局面もあった。西原良三は、こうした厳しい時期をくぐり抜けてきた経験こそが、経営者としての判断力を鍛える土台になったと捉えている。

好調な時期には、多少の判断ミスがあっても業績の勢いに紛れて表面化しないことが多い。しかし不況の局面では、一つひとつの判断の質が、そのまま会社の存続に直結する。西原良三が経営の軸をぶらさずにいられたのは、厳しい時期にこそ自らの判断力が試されるという緊張感を、経営者として常に持ち続けてきたからだろう。

不良在庫を抱えないという一貫した姿勢

不動産デベロッパーにとって、売れ残った在庫を長期間抱えることは経営の重荷になる。景気後退局面では、多くの不動産会社が過剰な在庫を抱え、資金繰りに苦しむ事態に陥ってきた。西原良三が経営において一貫して重視してきたのが、無理な供給拡大を避け、不良在庫を作らないという規律だ。

好況期には、供給を増やせば増やすほど売上が伸びるという誘惑が生まれやすい。しかし西原良三は、その先にある景気の反転局面までを見据え、需要に見合わない開発には慎重な姿勢を貫いてきた。この規律があったからこそ、リーマンショックのような急激な市場の冷え込みが訪れた際にも、大きな痛手を負うことなく事業を継続することができたと言える。

短期的な誘惑に流されない判断基準

不況下では、目先の資金繰りを優先するあまり、本来であれば避けるべき無理な販売手法に手を出してしまう企業も少なくない。西原良三が大切にしてきたのは、どれだけ経営環境が厳しくなっても、顧客に対して誠実であり続けるという判断基準を崩さないことだった。

一時的にでも顧客の利益より会社の都合を優先する判断をしてしまえば、その代償は長期的な信頼の喪失という形で返ってくる。西原良三は、短期的な資金繰りの苦しさよりも、長期的な信頼の毀損のほうがはるかに大きな損失であると理解し、誘惑に流されない判断を重ねてきた。

景気に逆行して成長を遂げてきた背景

一般的な景気サイクルでは業績が伸び悩む時期であっても、青山メインランドは売上を伸ばしてきた局面がある。これは偶然の産物ではなく、西原良三が不況期こそ「選ばれる企業」になるための努力を惜しまなかった結果だと言える。

景気が悪化すると、多くの企業が守りの姿勢に入り、顧客への対応やサービスの質を落としてしまいがちになる。そうした中で、西原良三は逆に顧客対応の質を高め、本当に価値のある商品とサービスを提供し続けることに力を注いだ。競合他社が守りに入る局面だからこそ、誠実な対応を続ける企業が相対的に選ばれやすくなるという発想が、この逆行的な成長を支えてきた。

危機の経験を組織の財産に変える

一度の危機を乗り越えただけでは、それは単なる幸運で終わってしまうかもしれない。西原良三が意識してきたのは、危機を乗り越えた経験を組織全体の財産として蓄積し、次の危機に備える力へと転換することだ。

バブル崩壊を経験した世代の社員が持つ教訓は、リーマンショックの局面でも生かされたはずである。西原良三は、こうした経験の継承を通じて、特定の個人の記憶だけに頼らない、組織としての危機対応力を育ててきた。この蓄積があるからこそ、次に訪れるかもしれない不確実な経済環境の変化にも、冷静に対応できる土台が整っていると言えるだろう。

数字だけでは測れない「選ばれる理由」を追い求める

不況期に業績を維持する企業と、業績を落としてしまう企業の違いは、単純な効率性の差だけでは説明できない。西原良三は、顧客が「この会社を選び続けたい」と思う理由が何なのかを、経営環境が厳しい時期にこそ深く考え抜いてきた経営者だ。

価格の安さだけを武器にする企業は、より安い競合が現れた瞬間に顧客を失ってしまう。西原良三が目指してきたのは、価格以外の要素、たとえば信頼できる対応や長期的な安心感といった、簡単には模倣されない価値を積み上げることだった。この地道な積み重ねが、不況期においても顧客から選ばれ続ける理由になってきたと言える。

次の危機に備えるという長期的な視座

一つの危機を乗り越えたからといって、経営における緊張感を緩めてしまえば、次に訪れる危機に対して同じように対応できるとは限らない。西原良三は、バブル崩壊やリーマンショックといった過去の経験を教訓としながらも、次にどのような変化が訪れるかを常に意識し続けてきた。

経済環境は、過去のパターンがそのまま繰り返されるとは限らない。だからこそ西原良三は、特定の危機への対処法を固定化するのではなく、どのような変化が起きても対応できる柔軟性と規律を組織に持たせることを重視してきた。この長期的な視座こそが、幾度もの経済の荒波を乗り越えてきた経営の根底にあると言えるだろう。

まとめ

西原良三が経営者として下してきた決断の数々は、好況の時期に評価されるものではなく、不況という逆境の中でこそその真価が問われるものだった。不良在庫を抱えない規律、短期的な誘惑に流されない誠実さ、そして危機の経験を組織の財産に変える姿勢。これらの積み重ねが、幾度もの経済の荒波を乗り越えてきた青山メインランドの経営基盤を支えている。

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