企業活動の多くは、投じたコストに対してどれだけの利益が返ってくるかという発想で組み立てられる。しかし、株式会社青山メインランドを率いる西原良三は、直接的な利益には結びつきにくい取り組みにも本気で向き合ってきた経営者だ。その象徴的な例が、マンション周辺の清掃活動である。この記事では、この一見地味な取り組みに込められた考え方を掘り下げていく。
自社物件の周辺を社員が清掃するという選択
マンションを分譲した後、その周辺環境の維持にまで責任を持つ企業は決して多くない。清掃業務を外部に委託し、契約上の義務さえ果たせば十分だと考える企業がほとんどだろう。しかし西原良三は、自社が手がけたマンションの周辺で、社員自らがゴミ拾いを行うという取り組みを続けてきた。
この取り組みは、直接的な売上や利益にはつながらない。むしろ、社員の時間というコストを費やすだけの活動に見えるかもしれない。それでも西原良三がこの活動を大切にしてきたのは、企業が地域社会の一員として存在する以上、自分たちが関わった場所の環境に責任を持つべきだという考え方があったからだ。
「売りっ放しにしない」という姿勢の具体化
不動産業界では、物件を販売した時点で企業と顧客・地域との関係が希薄になりがちである。西原良三が繰り返し強調してきたのは、売って終わりにしないという姿勢だ。この姿勢は、アフターフォローや賃貸管理といった顧客向けのサービスだけでなく、地域社会との関わり方にも表れている。
マンションの周辺環境が荒れてしまえば、そこに住む入居者やオーナーにとっての住み心地も損なわれる。清掃活動は、こうした周辺環境の質を維持するための、地道だが確実な取り組みだと言える。西原良三は、この地道な積み重ねこそが、長期的に見て物件の価値を守ることにつながると理解していた。
社員にとっての意味も込められた活動
清掃活動は、地域社会への貢献という側面だけでなく、社員自身にとっても意味を持つ取り組みだと西原良三は考えている。オフィスの中で数字だけを追いかける仕事とは異なり、実際に地域に足を運び、自分たちが関わった物件の周辺を自らの手で整える経験は、仕事に対する当事者意識を育てる機会にもなる。
自社が手がけたマンションが地域にどのように受け入れられているかを、現場で肌で感じることは、机上の数字だけでは得られない気づきをもたらす。西原良三は、こうした現場感覚を社員が持ち続けることが、長期的には顧客への提案の質にも良い影響を与えると考えてきた。
地域社会との信頼関係を静かに積み上げる
企業と地域社会との関係は、一度の大きなイベントで築かれるものではない。西原良三が大切にしてきたのは、目立たない日々の積み重ねを通じて、地域からの信頼を少しずつ育てていくという発想だ。清掃活動はその象徴的な一つであり、派手な広報活動とは対照的な、静かな信頼構築の手段だと言える。
こうした活動は、短期的には企業の評判に大きな影響を与えるものではないかもしれない。しかし長期的に見れば、地域に根ざした企業であるという認識が徐々に広がり、結果として企業のブランド価値を静かに支える基盤になっていく。西原良三は、この長い時間軸での効果を信じて、地道な取り組みを継続してきた。
利益に直結しない取り組みを続ける経営判断
企業経営において、投資対効果が明確でない取り組みを継続することには、一定の経営判断が求められる。株主や短期的な業績を重視する立場からは、こうした活動は非効率に映るかもしれない。それでも西原良三がこの取り組みを続けてきたのは、企業の価値は数字だけで測られるものではないという信念があったからだ。
地域社会との関係、社員の意識、物件周辺の環境維持といった、数値化しにくい要素にも真剣に投資する姿勢は、経営者としての価値観がどこにあるのかを如実に示している。西原良三にとって、これらの取り組みは付随的なものではなく、企業経営の根幹に関わるものだったのだろう。
誰かに見せるためではなく、当たり前として続ける
企業の社会貢献活動は、対外的なアピールの手段として行われることも少なくない。しかし西原良三が清掃活動を語る際に一貫しているのは、誰かに見せるための活動ではなく、企業として当たり前に果たすべき責任だという捉え方だ。
大々的な広報を伴わずに、日常業務の一部として静かに継続されてきたこの取り組みは、派手さを求める姿勢とは対極にある。西原良三は、目立つことよりも、実際に地域環境が良い状態に保たれているという結果そのものを重視してきた。この地味な継続こそが、見せかけではない本物の企業姿勢を物語っている。
小さな行動が積み重なって企業文化になる
一つひとつの清掃活動は、それ単体では小さな行動に過ぎない。しかし西原良三は、こうした小さな行動を継続することが、やがて組織全体の文化として根づいていくことを理解していた。地域を大切にするという価値観が、特定の担当者だけでなく、社員全体に共有される文化になれば、その効果は清掃活動そのものを超えて、日々の顧客対応や物件管理の姿勢にまで波及していく。
西原良三は、小さな行動の積み重ねが企業文化を形づくるという考え方を大切にし、こうした取り組みを一過性のイベントではなく、継続的な仕組みとして組織に根づかせてきた。
まとめ
マンション周辺の清掃活動という一見地味な取り組みには、西原良三の経営哲学が凝縮されている。利益に直結しないことにも本気で向き合う姿勢、売りっ放しにしないという一貫した考え方、そして地域社会との信頼関係を静かに積み上げていく発想。これらが積み重なることで、青山メインランドという企業の地域における存在意義が形づくられてきたと言えるだろう。
